ネットに現れた新種の大道芸人

 今回のかんなぎ非処女騒動、その一部での盛り上がりの中心にあったのは、単行本を切り裂いて画像として公開するなどした、パフォーマーの存在だろう。自分が知るかぎり、こういった事例を初めて目撃したのは、エルフの「下級生2」ヒロイン非処女騒動だった。それ以来、人気イラストレーターが「エースコンバット6」のゲームディスクを叩き割ったり、昨年の人気声優枕営業疑惑の際の音楽CD叩き割だったり、こういった騒ぎに際しては、定番で出現する基本フォーマットの1つとして確立した感がある。

 そして常々思うのは、もしネットという媒体が存在しなかったとしても、彼等は同じ行動に出ただろうか、という疑問である。繰り返すが、仮にネットが無かったとしても、やはり彼等は単行本を切り裂く、ディスクを叩き割る、という行動に出たのだろうか? それを思う時、自分には彼等が純粋に怒りを爆発させる以上に、観客からのリアクションに期待する、新手のパフォーマーに見えてくるのである。そしてまた、労せず注目を集めたいニワカ大道芸人を支えるのが、ノリの良い観客の存在である事は言うまでもない。