8bit時代に生まれたwiiリモコンのご先祖様

旧聞に属する話題だが、wiiリモコンの最も特徴的な技術といえば、あのセンサーバーだろう。「センサー」という名前とは裏腹に内部に搭載されているのは赤外線を発する5つのLEDのみ。実際に光を読み取るセンサー本体はリモコンの方に載っている。普通なら、リモコンから光を出してセンサーバーの方で位置を読み取るようにしようと考えるところだが、リモコンの方にセンサーを搭載するという逆転の発想によってwiiは手軽な設置性とコストの削減を実現している。
さてファミコン時代、実はこのwiiリモコンに近い発想で画面上のポイントを機能を実現していた周辺機器があったのをご存じだろうか? ファミコンの前面にあった拡張端子に接続して使用した「光線銃」と名付けられた拳銃型をしたコントローラがそれだ。「ダックハント」や「ワイルドガンマン」といった対応ソフトがあり、ゲーム画面上に表示されるターゲットの射撃を競い合うゲームだった。
両手で握った拳銃コントローラで鳥や悪漢を撃つ事が主たるゲーム性なのだが、この光線銃にはwiiで言う所のセンサーバーにあたる装置さえ付属していなかった。この光線銃単体をファミコンに繋ぐだけで、画面上のターゲットを正確に射撃することが出来たのだ。その秘密は、画面上のターゲットの位置に人間の目には認識されないほど一瞬だけ光る赤いドット。光線銃のトリガーを引いた時に銃の先端に取り付けられたセンサーが、この赤いドットを認識した時にのみターゲットに命中したという判定が行われるという仕組みだった。wiiのセンセーバーが実際にはセンサーと搭載していなかったように、ファミコンの光線銃も実は光線を「受信」していたわけだ。
wiiセンサーバーの仕組みを知った時、この光線銃の仕組みが頭の中に思い出された。かつてファミコンは、不要な機能を徹底的に削ぎ落とし遊びのために必要な機能のみに特化したコンピュータとして開発されたという。そして、GPUはシェーダ機能を持たず、画面のHD出力にも対応せず、DVD再生機能さえ載せていない。ただ己の信じる遊びの要素のためだけに最大限の工夫をこらして生まれてきたwiiは、そんなかつてのファミコンマインドが蘇ったような機械だ。改めてそんなことを思う。それが現代に太刀打ちできるのかは、まだわからないけど。