炎上ブログがなぜ強がるのか

 もう2、3年前の事だが、一時、地方新聞の記者や元女性アナウンサーなどマスコミ関係者が開設していたブログが炎上する事が良くあったと思う。そして、そういった騒ぎの際、必ずブログ開設者は騒動の元になった記事につづくエントリで、「この程度の反応を受けても何とも無い」「こんな風に大騒ぎする連中は馬鹿だ」的な意思表明を行い、ますます状況を悪化させていくというのが、お定まりの展開だったように思う。

 多くのイナゴ達はあの強がりを自分達への挑発と受け取り、結果として状況をますますヒートアップさせていった。だがしかし、実はあれはイナゴ達へのアピールでは無かったのではないかと自分は思っている。

 マスコミ関係者が、(たとえ匿名であっても)自分の身分を明かして*1ブログを開設していた場合、本人周辺の関係者、いってみれば身内の人間もそのブログの読者だったのではないだろうか。そして、そういったブログで自分自身の思想信条にまつわるエントリ*2を投稿し、それがきっかけとなって炎上が起こった時、友人や職場の同僚達が見ている目の前で、簡単に白旗をあげる*3ことが出来るだろうか? むしろ、身内からの視線を意識するあまりかえって「この程度の反応を受けても何とも無い」「こんな風に大騒ぎする連中は馬鹿だ」的な意思表明を行うのではないだろうか。要するに、火元となった記事に続くエントリでお定まりのように“強がり”が行われたのは、イナゴ達への挑発ではなく、リアルな人間関係において「自分自身の無傷ぶり」をアピールするために行われていたのではないだろうか。

 繰り返しになるが、炎上ブログにおいてこの“強がり”が行われると、大抵は「燃料投下」ということになり、状況はますます悪化する。しかし、投下されたこの燃料の実態は、実は単なる「ネット」と「リアル」の行き違いだったのかもしれない。

追伸
こんな事を書いておいてアレだが、あまり「ネット」と「リアル」という分別法は好きじゃない。ネットというのは単に媒体の1つの形であって、そこもまた現実の一端に他ならないからである。

*1:ただし、身分を明かすと言っても「地方新聞記者」程度の肩書き表明だったように思う。また、本名を明かして勤務先を隠しているパターンもあったように思う。

*2:炎上の対象になったのは、左翼的なニュアンスの強いエントリが多かったと思う。

*3:この場合、白旗をあげるとは思想信条を曲げる事ではなく、炎上に対して白旗をあげるという意味である。