発狂しそうになるウェブサイトが存在する理由

 ネットを利用しているとたまに、気が狂いそうになるほど使いにくい、サイト運営者の正気を疑うような、異常な悪意によって構築された、電波なサイトの利用を強要されることがある。その代表例が、間違いなくテレビ局の公式サイトだろう。


自分がやむなくテレビ局のサイトを訪れる時には、明確な目的がある。その日の詳細な番組表を知りたくなった、特定の番組について右クリックしてプロパティを選択したくなった、録画しなかった番組の概要を後から知りたくなった等、そんなところだ。
しかし、暗黒スパゲッティのようにからまった局のサイトからそれら情報を探し出すには、絶望的に煩雑な作業を強いられる。しかもその上、実は求める情報そのものが存在しなかった、というオチも少なくない。そして自分にとってはどうでもいいワケノワカラン番組についての情報は、あちこちにベタベタとバナーが貼られ、嫌というほどアッピールされ、誤ってクリックしそうになる場所に執拗にリンクが仕掛けられている。


この邪悪な構造の正体は、結局のところ、テレビ局と利用者のウェブサイトに対する認識の違いだろう。ネットで自ら求めて局のサイトにアクセスするような人間は、能動的に情報を求めてそこにやってくる人間だ。それに対して、局のサイトはテレビ電波と同じ認識で作られている。要するに、特に目的があるわけでもなく口を半開きにして画面を眺めている人間の頭に、どんどん電波を詰め込んでいく作業と同じ発想だ。局のサイトは、その局が見せたい番組、持たせたい価値観、教えて込みたい思想、を利用者に刷り込む事をコンセプトに構築されている、とでも思えば分かりやすい。しかし、ウェブは電波ではない。利用者は情報を求めてサイトを訪問するのであって、局の発信する電波ゆんゆんを受信しにきたのではない。*1

だが、いやそれ故に、この問題が解決する日が永遠に訪れない可能性も高い。テレビ局の公式サイトが、本当に必要とされる情報を、利用者に客観的で分かりやすく提供するという姿勢を示す事は、彼等が主題とする商業主義とは相容れない物だからだ。*2 繰り返すが、彼等の仕事は曖昧模糊なイメージを視聴者の頭に詰め込むことであって、本当に必要な情報を提示することではない。(そんな事をしたら彼等自身の首を絞めることになってしまう) だから、このネットの時代にあっても局のサイトは相変わらずテレビ電波と同じ発想で作られ続けているのだ。


さて、今さらどうしようもないテレビ局の立ち位置などは置いとくにしても、せめて、スポーツ番組の延長情報くらい、RSSでリアルタイムに配信してくれないだろうか。そうすれば、俺も狂ったバレーボール大会のために地獄少女の録画に失敗することもなければ、テレビ関係者が毛嫌いしているYouTubeの世話にもならずに済んだものを。
え? RSSなんて使ったらサイトの訪問者が減ってしまう? いかにも彼等が考えそうな事だ。

*1:ウェブにおいても、受動的に情報を受容する需要は存在するが、テレビ局のサイトは既にそのポジションにはない。

*2:番組では収録しきれなかった納豆ダイエットに関する詳細なデータを載せたりすると困るのはテレビ局自身だ。